観覧車を降りると、私たちは次の目的地へと向かう。

「あのさ、二人とも、本当に良かったのか? 急な話だったのに」
「もちろん、一緒に行きたいから」
「えへへ……すごく楽しみー」

春陽くんが躊躇いがちに聞いたけど、私とねねちゃんはしっかりとうなずいた。
私たちの心はここに来る前から決まっていたから。

「わたし、しずちゃんと一緒に、同じ高校に通いたかった。はるくんに会って、しずちゃんの傍で二度目の恋をしたかったー」

ねねちゃんは花咲くように微笑んだ。

「今になって、その願いが叶うなんて思ってもいなかったー」

その喜びように、今までの一日一日がとても尊く思える。
みんなと過ごしたあの日々は、私にとってかけがえのない宝物だ。
先のことは分からないけど、どんな未来でも思い出はきっと永遠だから。

「はるくん、しずちゃん、行こう!」

ねねちゃんのその温かな声に、私は居ても立ってもいられなくなる。

「うん! 春陽くん、ねねちゃん、行こう! 私たちの未来に! 私たちが、私たちのままでいられる場所に!」
「おう、みんなで行こうな!」
「これからは……ずっとずっと、みんなで一緒にいようね!」

その衝動の赴くままに、私はリュックのベルトをぎゅっと握った。
そして、みんなと一緒に次の目的地へ歩き出す。

「見ているよね、はるくん。私たちの新たな旅立ちを」

私はそっと空を見上げる。
その瞬間、世界の片隅で奇跡は起こった。
たった今、それは私のすぐ傍で。
温かな手に、そっと背中を押されたような気がしたから。
ほんとに、はるくんにはいつもいつも驚かされてばかりだ。

大好きの言葉じゃ足りないくらいに、はるくんが好き。
私たち、絶対に『共依存病』そのものを変えてみせるから。

私たちは、春色に染まった空に向かって歩みを進める。
――色濃く刻まれた私の春は終わりを迎えようとしていた。