「私、どうしようもないくらい、春陽くんのことが大好き」
「……わたしもね、はるくんのことがどうしようもないくらい、大好き」
私もねねちゃんも、春陽くんに伝えたい想いはたくさんある。
これから長い時を一緒に過ごすたびに、それは増えていくのだろう。
一言に集約できない気持ちは、全部伝えきれるだろうか。
「えへへ、しずちゃん。わたしたち、いつも同じ魂を持つ人たちに惹かれ合っているね……」
「同じ魂だもん。私たちが惹かれるのは、当たり前のことなのかもしれない」
私とねねちゃんは同じ人を――はるくんを大好きだった。
はるくんと同じ魂を持つ秋斗くんと春陽くんに惹かれるのは必然だったのかもしれない。
「あのね、しずちゃん」
ねねちゃんは私の方を見て、はにかむように笑顔を作った。
「わたしね、はるくんと同じくらい、しずちゃんのことも大事なんだー」
「ねねちゃん……」
不意の言葉に、私の胸に温かな幸福が満ちていく。
「はるくんがわたしとしずちゃん、どちらを選んだとしても……ずっとずっと一緒にいたい」
ねねちゃんのその声は縋るような切実さを孕んでいた。
「みんなに、ずっとずっと傍にいてほしい」
ねねちゃんの言葉が心を温める。
夏の光の中で、蕾だった心の花がはらりと開いた。
「うん、もちろんだよ!」
私はその温もりに突き動かされるように、ねねちゃんの目をまっすぐに見つめてそう言った。
「私達は、これからも離ればなれなんかにならないよ。絶対に絶対に!」
「しずちゃん……」
力のこもった声音に、ねねちゃんは少し驚いた顔をしていた。
「私、ねねちゃんのことが大好きだよ」
「わたしも、しずちゃんのことが大好きー」
ねねちゃんが私の手を強く握った。私もそれを握り返す。
同じくらいの強さで。
きっと、同じくらいの強い気持ちで。
その手で、大好きで大切な友達の存在を確かめた。