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本当はもう一度、会いたいと心のどこかで願っていた。
思い出すのは忘れてしまった方がいい、あの日の出来事だ。
終わった過去を思い出しても、現実は変わらない。
それは確かなことだ。冷たい現実はそこら中に息を潜めている。
私とはるくんとねねちゃんは、中学の入学式の時に知り合った仲良しの三人組だった。
活発で賑やかなはるくんとねねちゃんが、私をいつも引っ張ってくれて、いろんな場所で遊んだ。
二年前の夏祭りの日、私とねねちゃんは駅前のコンビニの前ではるくんと落ち合っていた。
「はるくん」
「お待たせ!」
駅前のコンビニの前に広がるのはバスターミナル、そのベンチの一つにはるくんは腰かけていた。
私とねねちゃんにとって、大切でかけがえのない人。
そして、今ではもう会えないはずの人。
私とねねちゃんは、そっちに向かって大きく手を振ってから手招きをした。
「はるくん、遅くなってごめんね」
「ごめんは禁止」
「……うん。ありがとう」
目の前には太陽のようなはるくんの笑顔。
彼が笑うと、春の柔らかな空気が生まれて温かな日だまりに包まれている気がする。
きっと同じことを思ったのだろう。
私とねねちゃんは顔を見合わせて笑った。
「しずちゃん、ねねちゃん、時間は有限だ。早く行こう」
「元気だよね」
「はるくんらしいね」
足早に歩き始めたはるくんを、私とねねちゃは追いかける。
空は青くて、空気は澄んでいて。
傍には優しい友人がいて、大好きな男の子がいる。
夏色に染まる指先に。
この時間が永遠に続けばいいなと――願いながら。
私ははるくんとねねちゃんと三人で過ごす時間が大好きだった。
でも――。
「しずちゃん。はるくんがね、昨日、日直の当番を手伝ってくれたんだよ」
「そうなんだね」
ねねちゃんの屈託のない笑顔を見ていると、私がはるくんに抱いている気持ちと同じものが、ねねちゃんの中にもあるのだと悲しいくらい分かっていた。
私たちは同じ人を――はるくんを大好きだ。
でも、どうすればいいのか分からなくて、みんなでいる時間があまりにも優しくて心地よくて、ずっと続いてほしいと思って。
みんなで過ごした日は、どの日々も宝石のように輝いていたから。
私はこの気持ちを隠したまま、二人の仲を応援していくことになるんだろうな、と漠然的に思っていた。
それを信じて疑わなかった。
それなのに永遠の別れは唐突にやってきた。