その病気の名前を聞いたのは小学校の保健の授業の時だろうか。
その奇病の名は『共依存病』。
主な症状は二つの身体に同じ人格が宿っていることだ。
身体は別でも心は一つという一心同体の不思議な病気は、患者数が少ない難病の一つとして知られている。
だからだろうか。
その奇病は今はもう、山ほどある病気の一つとして、人々にそういうものだと受け入れられていた。
魂の片割れ。共依存と呼ばれる。少しだけ不思議な病気。それが『共依存病』だ。
ただ……、この病気に罹った者は一日置きに身体が入れ替わる。
そして、いずれ、魂がどちらかの身体に紐付き、どちらかが死んでしまうという残酷な病気だった。