決まり悪そうに頬を掻いている伶龍は、珍しく敬語で話している。
ただし、使い慣れていないせいで酷くぎこちないが。

「はい。
気をつけていただけると助かります」

再び頭を下げ、柴倉さんは去っていった。

「……今まで俺ら、滅茶苦茶迷惑かけてたんだな」

それは主に伶龍が好き勝手していたせいだと言いたくなったが、黙っておいた。
それに私だって、ただ唯々諾々と命じられるがままに穢れ討伐をするばかりで、なにも考えていなかった。

「そうだね。
これからは今までの汚名返上……ううん。
迷惑かけた分、恩を返せるように頑張ろう」

「だな」

伶龍が拳を突き出してくる。
少し考えて意味がわかり、私も拳を付き合わせた。