「別に捜してくれとか頼んでねーだろーがよ」

挑発するかのようにけっ、と伶龍が吐き捨てる。

「あなたはそれでよくても、我々はよくないんです!」

柴倉さんの怒号が響き、身体が大きく震えた。
伶龍も同じだったらしく、驚いた顔で柴倉さんを見上げている。

「あなたがいないと我々は穢れを祓えないのです。
それがどういう意味かわかりますか」

「それは……」

伶龍はそれっきり、黙ってしまった。
さすがに彼も、どういう事態なのか理解したらしい。

「神の御使いであるあなたに、一介の人間ごときの私などが説教など、烏滸がましいとわかっています。
しかし我々はあなたと、翠さんにこの国の未来を託すしかないんです。
ですからどうか、どうかよろしくお願いします」

親子ほど年が離れた私たちへ、柴倉さんが真摯に頭を下げる。
それで改めて、自分が背負っている責任の重さを知った。
伶龍も理解しているらしく、先程から黙っている。

「……俺も悪かった……デス」

ぼそりと伶龍が謝罪の言葉を落とし、思わずその顔を見ていた。

「あー……。
これからはもう少し、行動に気をつけ……マス」