代表するかのように祖母が、伶龍に聞き返した次の瞬間。

「修行だよ、修行!
なんだよ、俺が修行しちゃ悪いかよ!」

顔を真っ赤にして怒り、伶龍がブチ切れた。

「いや、悪かないけどね……」

祖母は苦笑いだが、それしかできないのだろう。
私だって似たようなものだし。
威宗に宥められ、少しだけ冷静さを取り戻した伶龍は、ふて腐れたように再び口を開いた。

「……今まで俺は、穢れさえ倒せばいいと思ってた。
でも、翠が死にそうになって、目が覚めたっていうか……」

ぽつりぽつりと話す伶龍は自信なさげで、まったく今までの彼らしくない。

「翠を守って穢れも倒せなきゃ、ダメなんだって気づいた。
だ、だから、もっとちゃんと戦えるように修行をだな」

照れくさそうにぽりぽりと指先で伶龍が頬を掻く。
それがなぜか、可愛く見えた。

「伶龍!」

「おい!
くそっ、抱きつくな!」

思わず抱きついた私を、必死に伶龍が引き剥がす。
しかしかまわずにぐいぐいさらに抱きついた。

「これからは私を、守ってくれるんだ?」