私に横になるよう、威宗が促す。
枕に頭を預け、目を閉じた。
滅多に怒らない威宗だが、今は私のために世間へ怒ってくれているように感じた。
しかし私はそんなできた人間ではない。
伶龍の怒っていた理由もわからなかった、ダメな人間だ。
威宗はああは言ってくれたが、やはり私は世間のいうとおり無能なんだと思う。
情けなくて泣きたくなったが、今は身体を丸めることすらままならない。

「……威宗。
それでもやっぱり私は、刀に見捨てられるダメ巫女だよ」

刀に見限られた巫女なんてきっと、前代未聞だ。
散々、伶龍にハズレだなんだと愚痴っていたが、私のほうこそハズレだった。

「……翠様」

静かな威宗の声が聞こえてくる。
それはまるで、諭すようだった。

「あのとき、伶龍は核を切る寸前でした」

「え?」

意味がわからなくて瞼を開く。
だって私たちは穢れ討伐に失敗したのだと言っていた。

「けれど伶龍は翠様のいるビルを穢れが破壊したのを見て、翠様の救出を優先したのです」

やはり威宗の言っている意味がわからない。
だって。

「でも、刀はなにがあっても、核の破壊が最優先のはず……」