だったら、個人……刀だから個刀?の問題なんだろうか。

「……ハズレ引いちゃったな……」

またため息をつき、腰を浮かせかけたところで伶龍が顔を出した。
頬にはテープが貼られており、赤い線が滲んでいた。
やはり矢が掠っていたようで、さすがに悪い気持ちになる。

「やーい、怒られてやんの」

ニヤニヤ笑い、私をからかう彼を力一杯睨みつける。
私はまだ汚れた姿だというのに彼のほうはお風呂に入らせてもらったのか、さっぱりとしていた。
私は巫女といえどただの人間で、あちらは刀で神様なので扱いが違うのだ。

「……誰のせいだと思ってるのよ」

「あ?」

聞こえないようにぼそりと落とした言葉は彼の耳に届いたらしい。
みるみる機嫌が悪くなっていく。

「倒せたんだからいいだろーが」

腰に手を当てて身体を屈め、眉間に力を入れて上目遣いで私をのぞき込んでくる様は、黒スーツと相まってどこぞの組の若い構成員のようだ。

「よくない!
何度私の指示に従ってって言ったらわかるの!?」

しかし負けじと彼を睨み返す。

「オマエの指示とか待ってたら、祓えねーだろーが」

じろりと彼が私を睨めつける。