神祇の家に生まれたから仕方ない、巫女だから穢れを祓うのは当たり前。
そう考えていたのを見透かされた気がした。

「オマエがそんなヤツでがっかりだ」

「あっ」

伶龍が踵を返してテントを出ていく。
引き留めようと上げた手は、中途半端に止まった。
引き留めたところでなにを言っていいのかわからない。

「……伶龍は私なんかより、いっぱい考えてるんだ」

戦闘狂のように穢れが出現すれば突っ込んでいくしかできない彼が、あんなことを言うなんて思わなかった。
伶龍は私なんかよりもっといろいろ、深く考えている。
なのに私はお役目だからってそれ以外、なにも考えずにやっていた。

「……最低だ、私は」

膝を抱えて丸くなる。
私は彼と同じくらい考えていないから、討伐が上手くいかない。
それは理解したけれど、いまさらどう伶龍に謝っていいのかわからなかった。



「伶龍、いい?」

私がふすまを開けた途端、彼は立ち上がって私の脇をすり抜け、部屋を出ていった。

「……せっかく好物のお菓子、買ってきたのに」

仕方ないので屋敷の奥へ向かい、曾祖母の部屋を訪ねる。

「大ばあちゃん、いるー?」