除染もそうだし、地域住人の避難など私たちだけではできない。
彼らの支えがあってこそ、私たちはなんの憂いもなく穢れ討伐に専念できるのだ。
なのに喧嘩を売るような真似などしていいわけがない。
「なにってなんだよ?
てかオマエ、なんであんなこと言われて言い返さないんだ?」
「それは……」
言い淀む私に彼がさらに続ける。
「命を張って穢れと戦ってるのは俺たちだ。
なのに出来損ないだと?
そんなこと言うならオマエが穢れを祓ってこい、っつーの」
不快そうに伶龍が吐き捨てる。
怒っている、凄ーく怒っている。
いや、彼はカルシウム不足か!っていうくらい、いつも苛々しているんだけれど。
でもこれは、本気で心の底から怒っている。
「で、でも。
穢れを祓えるのは私たち巫女と刀だけ、で。
他の人にはできないから……」
「ああっ?」
全部言い切らないうちに上目遣いで睨み上げられ、さすがにたじろいだ。
「だからって死ぬかもしれないんだぞ?
俺だって砕けりゃ終わりだ。
なのに役目だからってオマエはなにも考えずに従ってるのか?」
「それは……」
伶龍になにも返せなかった。