……え、もしかして庇ってくれるの?
などと若干、喜んだ私が甘かった。

「コイツをバカにしていいのはこの俺だけだ!
他のヤツがバカにするのは絶対に許さん!
俺は俺のものを貶されると、腹が立つんだ!」

ダン!と音を立てて足を一歩踏み出し、伶龍が腰に手をやる。
男たちは固まり、ごくりと喉仏が動いた。

「……あ?」

しかしすぐに刀がないと気づき、伶龍の顔が気まずそうになる。

「ま、まあ。
今日のところは許してやる」

格好悪いところを見せてしまったという自覚はあるのか伶龍は真っ直ぐに立ち、決まり悪そうにぼりぼりと首の後ろを掻いた。

「この狂犬が!」

「覚えてろ!」

「ばーか、ばーか!」

緊張から解放されたからか、男たちは小学生のような捨て台詞を吐きながら転がるように去っていった。

「けっ。
オマエらのほうが覚えてろ」

「なにやってんのよ」

追うように吠えた伶龍の頭を間髪入れず叩く。

「いてっ!
なにするんだよ」

睨みつけられたけれど、もうそんなの慣れっこだ。

「あのねぇ。
災害庁の皆様のおかげで、私たちは安心して穢れ討伐ができるの。
なのに、あの態度はなに?」