彼――柴倉(しばくら)さんの口から疲労の濃いため息が落ちていく。
そうさせているのは自分なだけに、大変申し訳ない。
今日は着替えすらさせてもらえずこれなので、柴倉さんはかなりご立腹なようだ。
わかるけどね、私も彼の立場だったら怒鳴りそうだ。

「刀の制御は巫女であるあなたの役割ですよね」

「……はい。
すみません」

頭を垂れてひたすら無心に謝罪を繰り返した。
私だって好きであんなヤツとパートナーを組んでいるわけではない。
できることなら今すぐ別の刀と交換したいくらいだ。
しかし、パートナーチェンジは刀が折れたときしかできないと言われたら、諦めるしかない。

「本当に頼みますよ」

「……はい。
すみませんでした」

もう一度ため息をつき、彼はようやく私を解放してくれた。

「……いい加減にしてほしいのは私のほうだよ」

ひとりになり、辺りを真っ黒に染めそうなため息をついた。
伶龍は私の言うことをまったく聞いてくれない。
元は刀だし人間としての常識がないのかと思ったが、母の初戦はそれは見事なものだったと、最近ずっと私と比較して祖母から耳が痛くなるほど聞かされている。