当然、私もずぶ濡れだ。

「あーあ。
また怒られる……」

「ははははははっ。
倒してやったぞ!」

憂鬱なため息をつく私とは反対に、伶龍は勝ちどきを上げるかのごとく高らかに笑っていた。



「いったいいつになったら、満足に祓えるんですか」

「……すみません」

生きていれば私の母ほどの年の男性に叱責され、身を小さく縮み込ませる。
町はあれが破裂してまき散らした液体で、建物も道路も赤く染まっていた。
防護服を着た人々が浄水を撒いてそれを除染している。

「除染費用がいくらかかるかわかってるんですか」

「……すみません」

同じ言葉を繰り返し、ますます身を小さくした。
あれの核を切れるのは伶龍の刀だけ。
なので彼がとどめを刺したのは問題ないが、やり方が問題なのだ。
核は崩壊する際、破裂して辺りを穢れで汚染する。
そうしないために私が矢で御符を貼り、伶龍がとどめを刺すのが正しいやり方だ。
けれど彼は待てができない。
躾のなっていない犬のごとく、核が姿を現すと一目散に向かっていく。
おかげで毎回、この有様だった。

「いい加減にしてくださいよ、まったく」