予感的中だったらしく、祖母の問いに彼からの返事はない。

「伶龍!」

「うっ」

祖母に強い声を出され、伶龍はようやくそろりと祖母へと視線を向けた。

「初陣で気が逸るのはわかるが、落ち着きな」

「お、おう」

仕方ないといった感じではあるが、伶龍は祖母の言うことを聞いている。
よっぽど祖母が、怖いらしい。

「翠が核に御符を刺すまでは、伶龍は翠の援護だよ。
わかったかい?」

「お、おう」

祖母に軽く睨まれ、伶龍が怯え気味に返事をする。
けれど本当にわかっているのかは疑わしい。

「最後は……」

「俺が核を叩き切る!」

自信満々に伶龍が宣言する。

「そうさ、簡単だろ?」

祖母の言い草はまるで初めてのお使いの説明でもしたかのようだが、相手は穢れ。
そんなに簡単にいくものでもない。

「ううっ。
上手くできるかな……」

練習はもちろん、日々している。
それでも練習と本番は違うわけで。
しかも。

「なあ、まだ?
まだなのか?」

今にも詰め所を飛び出ていきそうな伶龍をちらりと見る。

「ねえ。
今の段取り、ちゃんと理解した?」