お手伝いさんか勤務している役人を脅して買わせたんだろうか。
ヤツならやりかねない。

どさりと乱雑に彼の前に腰を下ろす。
しかし伶龍は私に視線を向けるどころか、興味なさそうにまんが雑誌を見たままだった。

「あのさ。
そんなにお腹空くなら一緒に食事、用意してもらおうか?」

それなら盗み食いも減るんじゃなかろうか。
我ながらいい提案だ。
しかし。

「は?
なに言ってんだ、オマエ。
こっそり盗んで食うからうまいんだろーが」

「は?」

伶龍がなにを言っているのかわからない。
あれか、お腹が空いているわけではなく、盗み食いのスリルが堪らない、と。

「あのねー、あんたのせいでみんな迷惑しているの。
そういうの、やめてもらえない?」

「うっせーな、また説教かよ。
用があったら呼ぶから出てけ」

「えっ、ちょっと!」

無理矢理私を立たせ、伶龍は部屋の外へと押し出していく。

「用があったらって、呼ぶのは私のほうなんですが!」

けれど抗議も虚しく鼻先でピシッ!と勢いよくふすまが閉まる。

「もー、人の話、ちゃんと聞きなさい!」