不快そうに言い、彼はダン!とわざとらしく大きな音を出して片足を踏み出した。

「すっげー不愉快だからやめてくんないかなぁー?」

その言葉どおり、不愉快そうに彼の語尾が上がっていく。
唇の端がぴくぴくと痙攣する。
参列者たちは落胆し、頭を抱えているものさえいた。

「伶龍。
あの方たちはこの国を治める方々です。
ご挨拶してください」

「あ?」

振り返った彼が私を、敵意を持って睨みつける。
三白眼のつり上がった目、見た目は同じ年くらいだ。
しかし悪いが安いチンピラにしか見えない。
態度といい、姿といい、私はどうもハズレを引いたようだ。

「俺に命令すんなや」

伶龍が凄んでくる。
背後でため息の音がしたが、きっと祖母だろう。

「伶龍!」

刀を手に、立ち上がる。
軽く立てた膝に、鞘を当てた。

「言うこと聞かないと、折るよ?」

折れば伶龍は消えるしかない。
ここまですれば従うだろうと思った私が甘かった。

「やれるもんならやってみろ」

右頬を歪めてにやりと笑い、彼が挑発してくる。
へー、そう。
私のこんなハズレ引いて絶賛後悔中だし、折ってやる!