「俺の娘!?
そりゃ、翠も老けるよな」

豪快に伶龍が笑う。
それはあの当時と変わっていなくて、伶龍が本当に帰ってきたのだと私に実感させた。

「……もう二度と、ひとりにしないで」

「ああ。
約束する」

目尻を下げて幸せそうに笑った伶龍の、唇が重なった。



伶龍の顕現で現場は混乱を極め、刀受領の儀は中断。
伶華に鍵をどうしたのか問い詰めたところ、私の部屋に忍び込んで持ち出したと判明した。

「だって、どーしてもあれがいいと思ったんだもん」

伶華はふて腐れているが、なにか通じるものがあったのかもしれない。
だからあんなに私が問いかけてもダメだったのに、伶龍は再び顕現した。

伶華の刀は選び直しになった。
実の父親と契らせるわけにはいかない。

「伶龍がよかったのに……」

新しい刀は最近のアイドルっぽいイケメンだったが、それでも伶華は不満げだ。
もしかして、親子共々男の趣味が似ているのか?
「わるいな、俺は翠以外の巫女のものになる気はないからな」

見せつけるように伶龍が口付けしてくる。
再び顕現してからというもの、彼は私にべったりだ。
それに雪永が妬いているかといえば。