私だって若い頃は、神祇の家に生まれたのを恨んだもの。

「さて。
どんな刀が顕現するか楽しみだ」

祖母は言葉どおり楽しそうに笑い、控え室を出ていった。
ちなみに百を超えた曾祖母も身体は衰えたとはいえ元気で、儀式を部屋のベッドの上からテレビで見ているはずだ。

年が明け、伶華の刀受領の儀が始まる。
準備されている木箱が妙に短くて、胸騒ぎがした。
刀の情報は私も受け取っていない。
祭壇の前に立って雪永に渡された紙を広げ、中に書かれている刀の番号と名前を確認する。

「ご確認を」

雪永が箱を置き、伶華がついている番号を確かめる。
それを聞きながら、一気に血の気が引いていった。

「間違いありません」

「では、ご開封を」

「待って!」

私が止める間もなく、伶華が木箱の箱を開ける。
中から出てきたのは刀ではなく――短刀だった。

「どう、して……」

状況が理解できない。
どうして、この短刀がここにあるの?
なんで伶華は、これを選んだの?

「こほん」

先を促すように雪永に控えめに咳払いされ、我に返った。
震える手で伶華が捧げ持つ短刀を受け取る。

「……二〇二三番、伶龍」