そっと鞘から引き抜くが、綺麗な白刃が姿を現すばかりで人の姿は現れない。
一応、刀としての番号はもらったが、もう顕現はしないだろうといわれていた。



すぐに大晦日になり、年越しの儀の準備に追われる。
そのせいでつい、伶華の刀の準備を雪永に任せっきりになっていた。

今年も祖母とともに舞を舞う。
もう八十を超えた祖母だが、いまだに現役だ。
私ひとりの手には負えない穢れが出現したとき、威宗共々手伝ってくれる。

「ばあちゃん、威宗。
長いことお疲れ様でした」

舞が終わって控え室へ下がり、祖母と威宗へ深々と頭を下げる。
祖母と一緒に舞うのは今年までだ。
来年からは伶華にバトンタッチされる。

「本当だよ」

汗の浮いた顔で、祖母が苦笑いを浮かべる。
本来ならとっくに引退しているはずなのだ。
本当に申し訳ない。

「これであとは伶華が早く一人前になってくれりゃ、安心して隠居できるんだけどね」

向こうで刀受領の儀に向けて準備している伶華に祖母が視線を向ける。

「え、私?」

「そうだよ」

「えー」

伶華は若干に嫌そうだが、その気持ちはわかる。