歴代巫女の中で、刀が折れて複数の刀と一生を供にしたものなど珍しくない。
大ばあちゃんだって春光が三振り目だし、次々と折って最終的に十振りになったものもいる。

「そんなに気負って選ぶことないよ。
……折れるんだし」

――刀は消耗品。

あのあと、落ち込む私に周りの人間は何度もそう言い聞かせた。
だからあんなにも刀が準備してあるんだってわかっている。
でも、ならば人の形などをして、情を通わせるようなことをさせないでほしい。
でないと失ったあとの喪失感に耐えられない。

「んー、もうちょっと悩むよ」

「早く決めてよ。
準備だってあるんだし」

「わかったー」

おやつも食べ終わり、椅子から立つ。
伶華と別れて自室へ戻り、常にそばに置いてある短刀を抱き締めた。

「伶龍……」

この短刀は折れた伶龍を、新たに短刀として蘇らせたものだ。
折れた刀は接げないが、短い脇差しや短刀として蘇らせることはできる。
伶龍は砕けずに綺麗に二つに折れたため、永久封印になるところを短刀として作り替えてもらった。

「応えてよ、伶龍……」