もしかしてあれが、核なんだろうか。
そう信じて、それめがけて矢を打った。
放たれた矢は目標に向かって蟲たちの中を勢いよく進んでいく、しかしそれはすぐに、失速して止まった。
進んだ分、蟲が散って穴があいたが、祖母よりは小さい。
やはり、私ではダメなんだろうか。

「翠、諦めんな!」

向かってきた足を、伶龍が刀ではじき返す。
そうだ、ここで弱気になってはダメだ。
なんとしても穢れを倒すんだ。

「ごめん!」

短く謝り、再び矢をつがえる。
威力が弱いのなら、蟲が戻るよりも早く、何度も射るだけだ。
それに速射なら、祖母から褒められている。

赤く光る一点に向かうよう、集中してできるだけ早く矢を射る。

「翠!」

そのうち、曾祖母と春光が私たちのもとへ辿り着いた。

「大ばあちゃん!」

返事をしながらも矢を射続ける。
もしかして変われと言われるだろうか。

「アンタがやんな!
わたしゃ援護するよ!」

少しのあいだ私の様子を見たあと、曾祖母は弓をかまえて向かってくる足の軌道を変えた。

「うん!」

それを視界の隅に収めながら、引き続き矢を射る。