そうやって彼が、私を元気づけてくれているのがわかった。
そうだ、祖母がこれくらいで死んだりするわけがない。

「伶龍。
私たちでやるよ」

じっと、目の前に壁のように立ち塞がっている穢れを見据える。

「光子は待たなくていいのかよ」

「うん」

落ちていた、祖母の矢を拾って立ち上がる。
曾祖母は確かに往年の英雄だが、現場に出なくなって久しい。
それに年も年だ、さっきよりも厳しい戦いになるはず。
なら、私がやればいい。
それに、なぜかできそうな気がしていた。

「私たちでやろう」

「了解」

にやりと不敵に笑い、伶龍が私の隣に立つ。

「オマエは矢を射るのだけに集中しろ。
足は全部、俺が防いでやる」

「任せた」

「よしっ、やるぞ!」

伶龍が跳躍し、迫ってくる足へと向かっていく。
私は弓に矢をつがえ、ぎりぎりと引き絞った。
だが、どこに打っていいのかわからない。
やみくもに打っても、矢を無駄にするだけだ。
その姿勢でじっと狙いを定めていると、穢れ本体の中になにかが見えた気がした。

「み、える……?」

蟲でできた分厚い壁の向こう、赤く輝く点が見える。