もうすぐ、8月も終わる。あいらが余命宣告されてから、三週間が経った。……もう半分もないんだ、と改めて思い知らされる。
「あいら、おはよう――」
「奏汰くん、お誕生日おめでとう!」
僕がいつものように病室へ入ると、あいらが笑顔で立ってくれていた。
僕は理解が追いつかなかった。
「え、今日って……」
「奏汰くん自分の誕生日も把握できてないの? 今日、お誕生日でしょ?」
――そうだ、八月二十二日。今日は僕の誕生日だ。
最近は自分のことを考える暇もないくらい、あいらのことに必死になりすぎていて、忘れていた。
「あいら、覚えててくれてたの?」
「もちろんだよ。大好きな幼馴染だからね。それで、プレゼントがありまーす!」
じゃーん、と言いながらあいらは一冊のノートを僕に差し出してきた。
……これ、僕があいらにプレゼントしたノートじゃないか。
「えっ、これ、貰っていいの?」
「ううん、駄目」
……呆れた。そうだ、あいらはこういう性格だ。僕を陥れて、楽しんでいる。
「まあ、今はね! いずれ、ね」
右目でウインクしながらそう言った。いずれというのは言われなくても分かる。“あいらの死が訪れたとき”だろう。
「えへへ、楽しみにしててね」
あいらはいつもの笑みを浮かべた。
――僕は、本当に、気がおかしくなりそうなほどあいらが好きだということに気づいた。
「……奏汰くん?」
僕は、このままだと後悔する。このままあいらに気持ちを伝えなければ、絶対に後悔する。
――きっと今しか、チャンスはない。
「――僕は、あいらのことが好きだ」
拳をぎゅっと握りしめてそう言うと、あいらは目を丸くし、とても驚いていた。
「言ったら困らせちゃうかなって思って言えなかった。だけど、このままだと後悔しちゃうと思って。その……僕と、付き合ってください」
勢いに身を任せ、勇気を出した。
頭の中まで心臓の音が伝わる。鼓動が早い。
「ありがとう、奏汰くん」
“でも、私は奏汰くんのことを大好きな幼馴染としか見れない”
彼女は、あいらは俯きながらそう言葉を放った。
――あいらの頬に一粒の涙が頬を伝った気がしたのは、僕の目から何粒もの涙がこぼれていたせいだろうか。
「あいら、おはよう――」
「奏汰くん、お誕生日おめでとう!」
僕がいつものように病室へ入ると、あいらが笑顔で立ってくれていた。
僕は理解が追いつかなかった。
「え、今日って……」
「奏汰くん自分の誕生日も把握できてないの? 今日、お誕生日でしょ?」
――そうだ、八月二十二日。今日は僕の誕生日だ。
最近は自分のことを考える暇もないくらい、あいらのことに必死になりすぎていて、忘れていた。
「あいら、覚えててくれてたの?」
「もちろんだよ。大好きな幼馴染だからね。それで、プレゼントがありまーす!」
じゃーん、と言いながらあいらは一冊のノートを僕に差し出してきた。
……これ、僕があいらにプレゼントしたノートじゃないか。
「えっ、これ、貰っていいの?」
「ううん、駄目」
……呆れた。そうだ、あいらはこういう性格だ。僕を陥れて、楽しんでいる。
「まあ、今はね! いずれ、ね」
右目でウインクしながらそう言った。いずれというのは言われなくても分かる。“あいらの死が訪れたとき”だろう。
「えへへ、楽しみにしててね」
あいらはいつもの笑みを浮かべた。
――僕は、本当に、気がおかしくなりそうなほどあいらが好きだということに気づいた。
「……奏汰くん?」
僕は、このままだと後悔する。このままあいらに気持ちを伝えなければ、絶対に後悔する。
――きっと今しか、チャンスはない。
「――僕は、あいらのことが好きだ」
拳をぎゅっと握りしめてそう言うと、あいらは目を丸くし、とても驚いていた。
「言ったら困らせちゃうかなって思って言えなかった。だけど、このままだと後悔しちゃうと思って。その……僕と、付き合ってください」
勢いに身を任せ、勇気を出した。
頭の中まで心臓の音が伝わる。鼓動が早い。
「ありがとう、奏汰くん」
“でも、私は奏汰くんのことを大好きな幼馴染としか見れない”
彼女は、あいらは俯きながらそう言葉を放った。
――あいらの頬に一粒の涙が頬を伝った気がしたのは、僕の目から何粒もの涙がこぼれていたせいだろうか。