恋愛の一つもしてこなかった私をからかうとはいい度胸である。
冗談だとしても口説く紛いのことをされると免疫もなく、元より真面目と言われてきた私は、ちゃんと受け取ってしまうではないか。
この性格が今となって恨めしい。
「本当なんだって、だって同じ場所で同じ時間なんて偶然では中々ないよ?」
「それは、確かに…」
そこは言い返せない。
大きな事故でもない限り、たまたま偶然同じというのはないだろう。
「でしょ?それすらも運命なんだって。だから、来世でも運命は続くんだよ」
この人は真面目な話をするときだけ語尾が間延びしない。
これは今日まで一緒に過ごしてきて分かったこと。
「これって、同性でも同じように運命として来世で結ばれるらしいよ」
「…知ってたの?」
「うん。何となくね」