真面目過ぎると言われる私とは正反対の、茶髪にピアスを開けたチャラチャラした男。

黒目黒髪の何の面白みもない私は、普段なら彼みたいな人とは一生関わり合いにはならない。


でも最近、自分の人生を思い返さずを得ないことが起こった。

体が不調を訴えたのだ。

仕事のし過ぎで肩こりや腰痛、頭痛には常に悩まされていて、今回もその延長で痛みがあるのだと思っていた。

だからいつものように放っておいて仕事を続けていたのだが、ある日、会社で倒れて救急車で運ばれた。

色々検査をして、診断されたのは癌だった。

あちこちに転移して、もう手の施しようがないとのこと。

不思議とすぐに受け入れられた。

家族も親戚もいない、いわゆる天涯孤独の身だったというのも大きいかもしれない。

残して逝くのはやはり心残りが出来て、生きたいと思ってしまうだろうから。