私は性別適合手術を受けた、元女性だ。
一人称は〝私〟だが、心は男。
性同一性障害というやつで、両親や親戚の人たちは私を受け入れてはくれなかった。
制服はスカートを着なさい、リボンを付けなさいと、女の子でいることを望まれた。
それに耐えられなくて絶縁し、天蓋孤独になることを選んだ。
今さら、そのことに対して思うことはない。
「全部お見通しか」
「…嫌だった?」
柄にもなく、不安そうに私を覗き込む彼。
「ううん…。むしろ嬉しい。全部知ってて、受け入れてくれて。そんな人、今までいなかった…っ」
知らず知らずの内に涙が零れる。
涙は床に落ちることなく消えていく。