2月29日。こちらの天気は良好です。ただ、花粉の元気も凄まじいものです。世界が黄色く見える程に。君の居るそ██はどうですか。


 静兄の死は突然だったね。桜が散るよりも呆気なかった気がする。でも静兄からの手██、一生枯れない花。私の宝物だよ。

 静兄が危ないかもって連絡が来た時、その時も信じられなかった。まだあと1年は生きるって、そうやって聞いてたからさ。
 覚えてるかな。私はあの時お母さんと一緒に静兄のところ行ったんだよ私。でも、沢山苦しんでいる静兄を見て、私は一言も█れなかった。
 正直、あの日からずっと夢の中に居るみたいだよ。

 でもあれから少し容態が落ち着いて、お医者さんから一週間はもつだろうって。そう言われた。そんな早くは█なくならいんだ、って少し安心したけど、寂しかった。

 静兄の余命はどんどん短くなっていったね。初めは10年だったはずなのに。君の病は、追い付けないぐらいの速さで君を殺して行った。 
 10年って言われてたのが5年に。それから1年に。それで、一週間。

 一週間。その一週間で何ができるかなって考えたの。でも私のちっぽけな頭じゃ、█兄と少しでも長く話すって事しか思い浮かばなかったんだ。沢山笑って昔話をしようって。
 でも██出来ないって聞いて、手紙を送った。届いたのはたったの一通だけだったけどね。

 本音を言うけど、早すぎるよ。静兄。もうちょっと長く居てくれても良かったんじゃない? もうちょっと、いや、もっともっと話したい事があったんだよ。
 静兄もそうだったら██な。


 私は静兄の死に顔を見る事が出来なかった。██にも、█儀にも、私は顔を出せなかった。静兄が死んだって言われた時も、涙一つも出なかったの。
 本当に薄█な人間だよね。私もそう思ってるよ。
 ごめんなさい。自分勝手でごめんなさい。

 どうにも静兄が死んじゃったっていう事を受け入れられなくて。信じら██くて。静兄と似た誰かと間違えられたんだって。笑ってね、嘘だと言って欲しくて。
 言い訳ばかりでごめんなさい。静兄██期に顔を見せる事が出来なくてごめんなさい。

 でも█兄が居なくなった5日後。葬儀が終わって、全てが落ち着いて、私は初めて静兄の死に対して泣いた。今も現██行形で泣いてるんだけどね。
 その時私は後悔したんだ。15年の恋を、愛█、私は静兄に█せていなかったって。

 だから綴ります。天国で沢山映画を観ているであろう静兄宛に、私からの愛のお返しを綴る。どうか受け取ってくれますよ█に。


 私はこれから誰かを本気で愛する事は無いと思う。もし静兄と似た誰かが現れたとしても、私は静兄以外を愛する事は出█ないはずだよ。
 私は静兄を一生愛しています。ずっと恋をしています。

 静兄だけが私の運命の相手。絶対に千切れない赤い糸██ばれた相手。いつかまた出会う事が出来たら、必ずまた恋をしよう。それで、昔█を笑って語り合おう。
 だからね、お別れは言█ないよ。

 そういえば、一つ未█があるの。静兄と一█にお花見したかったんだ。静兄、また会った時、行こうね。桜、█に行こうね。

 最後に、静兄が天国で楽しく過ごせていたら█しいな。私は静兄の幸せを█ってるよ。



 15年間愛してくれてありがとう。
 大好きだよ。
 またね。




敬具 ✍︎