ホームズとポアロ 〜アンソレイエ学園事件簿〜

アンソレイエ学園の生徒会室。

壁一面のモニターには、校内各所の映像が映し出されている。

その中央に座る人物は、アンソレイエ学園生徒会長のロバート・クレスだ。

「……どうしてここに?」

穏やかな笑みに完璧な姿勢。
誰からも信頼され、模範とされる存在。

セレネが静かに言う。

「監視カメラの死角を正確に把握しているのは、生徒会の管理権限を持つ人だけ」

ティリットが続ける。

「電子ロックの緊急アクセス権も」

リベルタが前に出る。

「そして三日という期限。学園行事の準備期間と重なる」

アルテミスが最後に言った。

「あなたは、私たちが動く時間を正確に計算していた」

ロバートは、しばらく沈黙した後、静かに拍手をする。

「ああ、合格だ」

微笑みは崩れない。

「資料はこの部屋にある」

引き出しを開ける。

そこには、確かに消えたはずの極秘資料。

「目的は何ですか」

ティリットが問いかけると、ロバートは椅子に深く腰掛ける。

「確認だよ」

視線が、四人を順に射抜く。

「名探偵の血統が、単なるブランドかどうか」

リベルタが冷ややかに言う。

「愉快な試験だな」

「学園は選ばれた者の場所だ」

会長は静かに続ける。

「だが近年、血統に頼る者が増えた。私は見極めたかった」

アルテミスが一歩出る。

「だから挑発した?」

「対立させれば、本質が見える」

セレネが小さく眉を寄せる。

「ずいぶん危ない橋を渡るんですね」

ロバートは初めて、ほんのわずかに表情を変えた。

「危険を恐れていては、真実には辿り着けないだろう?」

その言葉に、リベルタとアルテミスが同時に反応する。

だが今回は、言い争わない。

リベルタが言う。

「あなたは一つ、計算を誤った」

「ほう?」

アルテミスが静かに続ける。

「私たちは、対立しても分断はしない」

ティリットが言う。

「祖先は違うが、目的は同じだ」

セレネが微笑む。

「試験は、あなたの負けです」

ロバートはふっと笑った後に立ち上がる。

「いや、引き分けだ。資料は返却しよう。今回の件はセキュリティ検証として処理する」

ロバートは去り際に振り返る。

「だが覚えておけ。学園にはまだ観察者がいる」

その一言を残し、ロバートは部屋を出ていった。