V棟は、校舎の奥、古い木立の中にひっそりと建っていた。
昼間でも薄暗そうなその建物は、蔦に覆われ、年月の重みを感じさせた。
鍵はかかっていなかった。
「もう、誰も使っていないのね」
扉を開けたセレネの言葉に、埃と古木の匂いが応えるように漂う。
四人は懐中電灯の明かりを頼りに、ひび割れた廊下を進んだ。
室内のひとつ、朽ちた看板に「資料保管室」と書かれた部屋の扉を開けると――
「あった、書架が番号で並んでる」
ティリットが声を潜めて指さした。
第三書架の中段。
そこには、銀色の小さな金属箱がぴたりと嵌め込まれていた。
「この穴……ペンダントと、同じ形……」
セレネがペンダントを差し出す。
リベルタが頷き、それを慎重に嵌め込む。
カチリと静かな音を立てて、書架の一部が内側へ沈む。
すると小さな隠し箱が姿を現した。
「これが、本物の時計」
アルテミスがそっと手に取る。
黒い革に包まれた懐中時計。
裏蓋には、細かな彫刻と共に、数字と文字の列が刻まれていた。
「見ろよ、何か書かれてるぞ」
リベルタが懐中電灯を当てる。
時計の裏には、こう刻まれていた。
【C.L.V. 1924】
【Truth is not in time, but behind it.】
(真実は時の中でなく、その背後にある)
さらに、時計と共に封じられていた古びた封筒。
中には、創設者C.L.ヴァレンタインの日誌の写しが入っていた。
アルテミスが目を通すと、その内容に息を呑んだ。
「これ、完全に内部告発よ」
その内容は、学園創設期に起きた資金の不正流用。
ある理事によって握り潰された内部告発文書、そして、それを告発しようとした若き教師の退職。
「この時計は、その証拠だったのね」
セレネの声が震える。
「誰かがこの事実を、今になって暴こうとしている。あるいは、封じようとして」
リベルタの言葉に、四人の表情が引き締まる。
「時計は見つけた。でも、まだ犯人には辿り着いていない」
アルテミスの声が、夜の空気に静かに響いた。
「次は、この記録を誰が狙っていたかを突き止める番よ」
そのとき、時計の針がわずかに動いたように見えた。
事件の核心は、まだその先にあった。
昼間でも薄暗そうなその建物は、蔦に覆われ、年月の重みを感じさせた。
鍵はかかっていなかった。
「もう、誰も使っていないのね」
扉を開けたセレネの言葉に、埃と古木の匂いが応えるように漂う。
四人は懐中電灯の明かりを頼りに、ひび割れた廊下を進んだ。
室内のひとつ、朽ちた看板に「資料保管室」と書かれた部屋の扉を開けると――
「あった、書架が番号で並んでる」
ティリットが声を潜めて指さした。
第三書架の中段。
そこには、銀色の小さな金属箱がぴたりと嵌め込まれていた。
「この穴……ペンダントと、同じ形……」
セレネがペンダントを差し出す。
リベルタが頷き、それを慎重に嵌め込む。
カチリと静かな音を立てて、書架の一部が内側へ沈む。
すると小さな隠し箱が姿を現した。
「これが、本物の時計」
アルテミスがそっと手に取る。
黒い革に包まれた懐中時計。
裏蓋には、細かな彫刻と共に、数字と文字の列が刻まれていた。
「見ろよ、何か書かれてるぞ」
リベルタが懐中電灯を当てる。
時計の裏には、こう刻まれていた。
【C.L.V. 1924】
【Truth is not in time, but behind it.】
(真実は時の中でなく、その背後にある)
さらに、時計と共に封じられていた古びた封筒。
中には、創設者C.L.ヴァレンタインの日誌の写しが入っていた。
アルテミスが目を通すと、その内容に息を呑んだ。
「これ、完全に内部告発よ」
その内容は、学園創設期に起きた資金の不正流用。
ある理事によって握り潰された内部告発文書、そして、それを告発しようとした若き教師の退職。
「この時計は、その証拠だったのね」
セレネの声が震える。
「誰かがこの事実を、今になって暴こうとしている。あるいは、封じようとして」
リベルタの言葉に、四人の表情が引き締まる。
「時計は見つけた。でも、まだ犯人には辿り着いていない」
アルテミスの声が、夜の空気に静かに響いた。
「次は、この記録を誰が狙っていたかを突き止める番よ」
そのとき、時計の針がわずかに動いたように見えた。
事件の核心は、まだその先にあった。

