ホームズとポアロ 〜アンソレイエ学園事件簿〜

午後の光が高い窓から差し込む静かな図書室。
木の床を歩くたび、軋む音が響き、本棚の影で埃が舞う。
四人は人気のない奥の閲覧テーブルを囲んでいた。

机の上には、暗号のメモ、学園史の本、地図、古い新聞のコピーが並んでいる。

「ねえ、ちょっと見て。1924って、もしかして創立年じゃない?」

セレネが手にしていた学園史のページをめくりながら声を上げると、ティリットが目を丸くする。

「それ、校門に彫ってあったやつだよ!アンソレイエ学園 創立1924年って!」

アルテミスとリベルタは同時に顔を上げ、目を合わせた。

「となると、このSYMBOL 1924っていうのは、創立に関する象徴……学園のシンボルに関係してるってことかも」

アルテミスがつぶやく。

「記念塔……」

リベルタが低く言う。

「創立記念として建てられたあの塔には、創設者の資料や記録が保管されていたはずだ」

彼は鞄から校内地図を取り出して机に広げる。塔の構造が細かく描かれていた。

「でも、あの塔って普段立ち入り禁止だよね」

ティリットが言うと、セレネがいたずらっぽく笑う。

「だからって、入れないとは限らないわ」

図書室の奥の小部屋――かつて創設者の資料をまとめた旧資料アーカイブに4人は移動した。

扉の鍵は外れていた。部屋に入ると、古びた木製のキャビネットや、積まれた文書の山が視界を埋め尽くす。

「これ、理事長の家系図かしら?」

アルテミスが埃を払って一枚の古い紙を広げた。

「1924年の欄、見て。赤い印がついてる」

その名前はC.L.ヴァレンタイン、学園の創設者だった。

下に貼られていたのは、一枚のスケッチ。
記念塔の断面図と、時計の文字盤に似た円形の記号が描かれている。

リベルタがポケットから取り出したメモを読み上げる。

【SYMBOL 1924
CAN YOU SEE
THE CLUES
BEHIND THE WORDS】

「SYMBOL 1924は、やはり記念塔が象徴そのものってことか」

リベルタが言うと、セレネがスケッチに指を置いた。

「この塔の天井にMの印がある。他に記号は描かれていない、目立ちすぎてるくらい」

「CAN YOU SEE THE CLUES BEHIND THE WORDS。つまり、言葉の裏を読めってこと。これはただの暗号じゃなくて、記憶や歴史に隠された意味を読み解けというメッセージね」

アルテミスが静かに言う。
そのとき、ティリットが壁際のキャビネットを開き、何かを見つけたように声を上げた。

「これ、創設記念品のリストだ。中に時の象徴って項目がある!」

四人の間に緊張が走る。
時――それはまさに、盗まれた理事長の時計を示唆していた。

「記念塔には、何かが隠されている。それも、この事件と深く関係しているわ」

アルテミスが静かに言うと、リベルタが立ち上がる。

「ならば次は、記念塔の実地調査だ」