部屋に置いてある姿見を見る。
彼女だけが写っているその鏡。

僕は当然写らない。
そう。
だって僕は、この世にいないのだから。

僕を思い出して。目を真っ赤にして。
声が出なくなるまで泣いてる姿をただ黙って見ているのは正直辛い。

11月に僕が事故にあってしまってから、もう3ヶ月も経ってしまっている。
四十九日を過ぎて、もうそろそろあちら側の世界に行かなければいけない気がする。

でも、悲しんでる姿を見てると、それがどうしても出来なくなる。

スズナごめんね。泣かせてばっかりで。

一人ぼっちにさせてごめん。
何も出来なくてごめん。
触れられなくて。
抱きしめられなくて。
返事出来なくて。
幸せにしてあげられなくて。

未練タラタラで。
まだ大好きで。
誰よりも愛してて。
先に死んじゃって。
…全部ごめん。

ねぇ、早く僕の事なんか忘れて、
幸せになってくれないかなぁ。
そしたら、僕も安心できると…思う。

なんてね。もうちょっとだけ。
もうちょっとだけ、そばに居させて。

そうしたらきっと。
諦められるから。
ごめんね。