その後、維麻の容態が急変して意識不明に陥ったと彼女の母から連絡があった。維麻が事前に、そういった事態になった時には僕に連絡をしてほしいと母に伝えていたらしい。

『ありがとうね、真木くん』

 ほとんど感情を表に出さなくなっていた維麻が、あんなに笑ったり怒ったりしているのを見られてよかった。たとえ、それが彼女の寿命を縮めたのだとしても、きっと維麻は幸せだったはずだ──彼女の母は、そういって僕に感謝を伝えてくれた。

 やめてくれ。
 そんな言い方、まるで維麻が死んでしまったみたいじゃないか。

 僕は祈った。
 どうか、お願いです。
 あの流れ星みたいな、奇跡を起こしてください──と。
 毎分、毎秒、祈った。
 維麻を助けてくれるなら、神様だろうと流れ星だろうと構わなかった。


 それから八日の間、東条維麻は生きていた。