「奇跡、起きちゃった」

 ぽつ、と呟いた維麻。
 僕は頷いた。

「うん」

 維麻は僕の肩に頭を乗せて、小さく呟いた。

「和也。今夜のこと、絶対に忘れないでね」

 馬鹿だな、と僕は思わず笑ってしまう。
 こんなの、一生忘れられるわけがない。
 ──絶対に、忘れられるはずなじゃないか。