一息に伝えると、維麻は満足そうに笑った。
そうして、僕の頭をぽふぽふと撫で回す。
「……ひとつくらい奇跡が起きたらいいなって、ずっと思ってた」
奇跡でも起きない限りは治らない、彼女の病気。
自分の感情に殺されていく、理不尽な病。
運命を、きっと何度も呪ったに違いない。
それでも維麻は、いつだって笑っていた。
「でもさ、起きたわ。奇跡。あの弱虫の和也が、こんなに立派になってさ」
「それこそ、奇跡っていうには地味すぎるよ」
「そんなこと──」
維麻と僕の軽口のやりとりを遮るように。
星が破裂したかのように、明るくフラッシュした。