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僕が必死になってザネリ彗星を探している間、維麻は夜空に散らばる星を繋いで、星座を作った。
維麻の見ている星座は、僕にはさっぱりわからないかったけれど。
「あれは、ソフトクリーム座だね」
「想像力が豊かだな」
「その横は、電車の上についてるアンテナ座!」
「……パンタグラフのこと言ってる?」
「そう、それ座」
「なんだよ、それ座って」
「やきそば座に、丸メガネ座! きみ、小学生のころはまん丸い眼鏡かけてたよね」
小学校のときには、野比のび太ってあだ名だったっけ。
いや、酷いときにはメガネザルとか……僕のせいで、クラスにあだ名禁止令が出たんだ。
「あれは親の趣味だよ……」
「インテリって感じで、けっこう好きだったな」
「え、初耳」
「初めて言ったからね。きみ、今でもけっこう私の好みだよ」
やめてくれよ、なんて答えていいかわからないだろう。
嫌に熱い頬を、スポーツドリンクを凍らせてあるペットボトルで冷やした。
維麻が手持ち無沙汰に電源を入れた電池式のトランジスタ・ラジオから、ノ
イズ混じりの音楽が流れ出す。
DJの控えめなトークの合間に流れているのは、有名なバンドの代表曲だ。家族でカラオケに行くと、父さんが必ず歌うので覚えてしまっている。
満天の夜空は、とてもゴージャスだ。
そのぶん、小さな星ひとつを見つけるのには苦労する。
ザネリ彗星が見つかったのは、それから十数分後のことだった。
僕が必死になってザネリ彗星を探している間、維麻は夜空に散らばる星を繋いで、星座を作った。
維麻の見ている星座は、僕にはさっぱりわからないかったけれど。
「あれは、ソフトクリーム座だね」
「想像力が豊かだな」
「その横は、電車の上についてるアンテナ座!」
「……パンタグラフのこと言ってる?」
「そう、それ座」
「なんだよ、それ座って」
「やきそば座に、丸メガネ座! きみ、小学生のころはまん丸い眼鏡かけてたよね」
小学校のときには、野比のび太ってあだ名だったっけ。
いや、酷いときにはメガネザルとか……僕のせいで、クラスにあだ名禁止令が出たんだ。
「あれは親の趣味だよ……」
「インテリって感じで、けっこう好きだったな」
「え、初耳」
「初めて言ったからね。きみ、今でもけっこう私の好みだよ」
やめてくれよ、なんて答えていいかわからないだろう。
嫌に熱い頬を、スポーツドリンクを凍らせてあるペットボトルで冷やした。
維麻が手持ち無沙汰に電源を入れた電池式のトランジスタ・ラジオから、ノ
イズ混じりの音楽が流れ出す。
DJの控えめなトークの合間に流れているのは、有名なバンドの代表曲だ。家族でカラオケに行くと、父さんが必ず歌うので覚えてしまっている。
満天の夜空は、とてもゴージャスだ。
そのぶん、小さな星ひとつを見つけるのには苦労する。
ザネリ彗星が見つかったのは、それから十数分後のことだった。