怪我をしてから一年後ーー……。

俺は高校二年生に進級した。

必死にリハビリに励み、完治することは出来たけれど……以前のような走りは出来なかった……。

怪我をしてからすぐに陸上部の顧問や部員達……誰もがそう口々に囁いていた言葉達が俺の脳裏を過ぎり、それが現実になったことを嫌でも突きつけた……。

辛く、哀しい思いを抱くと共に腹立たしかった……。

ーーお前は走るのが早いから、絶対に陸上をやった方がいいっ!ーー

その時……ふっと、俺の脳裏に小学校高学年の時に担任だった先生の言葉が蘇った……。

くそっ……。
こんなことで好きなことを諦めてたまるかっ……‼

その一心で、俺は短距離走から長距離走へと転向し、練習に励んだ。

その甲斐あって……長距離走の選手として、ちょこちょこと小さな大会に出場させてもらえるようになっただけでなく、その年も開催された高校総合体育大会(インターハイ)に長距離走選手として出場することが決まったーー……。