今日は休日ということもあって、特別なイベントも開催されていた。

ちょっと早めの昼食を館内食堂で取ってから、休日ならではのイベントを見に行った。

館内をよちよちと歩くペンギン達の行列を見たり、野外ステージでは勢いよく水面から飛び出し、空中に吊るされた輪をくぐったり、飼育員さんと一緒に並んで泳ぐイルカのショーや上半身を起こして肢体を起用に保ちながら、パチパチとヒレを合わせて拍手をしたり、飼育員さんが投げたボールを鼻先で受け止めて、ボールを落とさないようにバランスを保ち、再び、飼育員さんの元へとボールを渡すアシカのショーも見た。

高野は間近で見るショーに時に驚き、時に拍手やイルカやアシカに手を振ったり……と、とても楽しんでいるようだった。

そんな高野の姿が微笑ましくて仕方がなかった。

……高野と来て、良かった……。

心から……そう、思った。

一通り館内を満喫して、最後にお土産ショップに立ち寄った。

そこにはお饅頭やクッキーにチョコレート等のお菓子や水族館のキャラクターが描かれたタオルにTシャツ、水族館ならではの生き物のぬいぐるみ等、数多くのグッズも販売されていた。

俺と高野はそれぞれ、店内を見て回った。

しばらくして……俺は高野の元へと戻った。

高野はぬいぐるみコーナーの棚に飾られたペンギンのぬいぐるみをじーっと、見つめていた。

そのペンギンのぬいぐるみはバレーボールくらいの大きさで、丸みを帯びたフォルムで、そこから手足がひょっこりと縫いつけられていた。

黒色の小さなつぶらな瞳がとても可愛いぬいぐるみだった。

「欲しいの?」

「あっ、ううん。かわいいなぁーって、つい……見とれちゃってた……。私、由衣ちゃんにあげるお土産まだ、選んでなかった! もう少し、待ってて」

そう、早口で言うと……高野は別のお土産コーナーへと行ってしまった……。

俺は目線を再び、高野がじーっと見つめていたペンギンのぬいぐるみへと戻したーー……。