青白く輝く光の空間で、華音とオズワルドは対面する。
此処は魂だけが訪れる事が出来る場所。2人は元の姿で立って居た。
華音は数時間ぶりに見る魔法使いの姿に安心した。
「オズワルド……何か数日会ってなかった感覚だよ」
「そうだな。お前はちゃんと私を演じられたか?」
「えっと、まあ……それなりに」
サンダーバードに苦戦した事以外は、と心の中で付け足した。
「そっちこそ、どうだったんだよ」
「まあ……それなりに」
オズワルドが悪戯っぽく笑い、「何で同じ事言うの」と不満を零しつつも華音も笑っていた。
「少々私には騒がしかったが、学生生活も悪くなかった」
「オレは宮廷魔術師は窮屈過ぎてごめんだけど」
「そうか」
「でもさ、ドロシー王女やマルスさんと過ごすの楽しかった。他にもエンベリーさんとか、オズワルドを良く想ってくれている人も居る。ヴィダルシュ城は温かくて心地良い所だな」
「……そうか」
魂は戻るべき身体へ引き寄せられ、青の空間から去る間際の2人の表情は全く同じで満たされていた。
***
姿見に映る漆黒の衣装に身を包んだ少年の姿は確かに自分である筈なのに、その顔は鏡像への不満で歪められていた。
「これで接客するのか……」
完全に異世界の住人だ。
衣装自体は悪くないのだが、完璧である故に抵抗があった。別次元の自分の普段着でさえ、着用するのが嫌だった。着用する事によって、注目を浴びるのが苦痛だった。好奇の視線が容赦なく突き刺さり、背中がむず痒くなる感覚に耐えられないのだ。
「鏡崎くん、やっぱり似合うね」
姿見の前からなかなか動かない華音のもとへ、柄本が近寄って来た。
華音は鏡像から目を離す。
「あぁ……うん。ありがとう」
言いながら隣に立つ少女に笑顔を向けるが、一瞬で剥がれ落ちて驚愕に染まった。
「エンベリー……さん?」
「ん? 誰」
柄本は不思議がりながらも面白がっていた。
「ごめん……何でも」
華音が昨日まで共に過ごしていたのはエンベリーと言う名のメイドで、別次元の柄本であるから似ていて当然だが、一瞬見間違えてしまった。
それも、柄本がメイドを思わせる赤色のエプロンドレスを着用していたからだった。頭にフリルのカチューシャを付けていたら尚そう見えていたが、実際に付けているのはバニーガールが付ける白いうさ耳カチューシャだった。
「柄本さんはうさぎ座だったね」
「うん。そう。鏡崎くんはカラス座だね」
「……ちょっと言いにくいんだけど、袖が少し長い気がするんだ」
華音は手元まで覆い隠す袖に視線を落とした。
「鏡崎くん、昨日も同じ事言ったよね」
「あれ? そうだっけ……」
全く身に覚えがない。昨日はオズワルドとして別次元のヴィダルシュ城に居て、代わりにオズワルドが華音として此方に居たのだ。柄本が示す華音はオズワルドの事であった。
「昨日と言えば、何だか鏡崎くんいつもと違う雰囲気だったね。それはそれで良かったけど、私は今日の鏡崎くんの方が好きだな」
「えっ」
好きと言う単語に無意識に心臓が反応してしまう。どっどっど、と忙しなくなった。
「勿論人としてね? 皆が言う様に鏡崎くんは素敵な人だけど、私は別に恋愛感情を抱いていないんだ」
「あ……そうなんだ」
「あはは。期待させちゃった? ……私じゃないでしょ?」
柄本が後ろを振り向き、その視線を辿った先には機嫌良さそうに尻尾を揺らすヤマネコ少女の愛らしい後ろ姿があった。
桜花は接客以外にコーヒーを淹れている。インスタントではなく、コーヒー豆をミルで粉砕してペーパードリップで淹れる本格派。何種類かあるペーパードリッパーの中でも、出来るだけ早く提供出来る様シンプルなメリタ式を使用している。
コーヒーに関しては桜花が強いこだわりを見せた為、自然な流れで彼女の担当となった。
他にも数人、桜花に教えてもらいながら一生懸命コーヒーを淹れている。
コーヒーのほろ苦い香りが辺りに満ちていた。
華音は桜花から視線を外し、柄本の言葉を聞かなかった事にした。片想いしている事を知られたくなかった。
コーヒー以外にも、パンケーキを皿に盛り付けている生徒や注文を確認している生徒が此処には多数おり、皆、星座をモチーフにした衣装を身に纏っていた。
本日の文化祭の為に衣装製作係が寝る間も惜しんでクラスメイト全員分を作り上げてくれたのだ。どれも製作係のデザインセンスと高度な技術により、各星座らしさを残しながらもスタイリッシュな仕上がりとなっていた。
星座のチョイス、及び担当は全てくじ引きで決められた。その為、黄道十二宮の者も居れば華音や桜花、柄本の様に少々マイナーな者も居る。
そしてこの教室の一角に設けられた空間は配膳係が身嗜みを整えたり、注文品を用意する場所だ。
簡素なカーテンの向こうが飲食スペースとなっていて、来客で賑わっていた。
「星の囁きゼリー、注文来たぜ」
カーテンが開くと同時に声がし、刃がニヤニヤしながら入って来た。そのニヤケ顔を向けられた華音は顔を顰めた。
刃はオリオン座担当で、狩人オリオンの格好を現代風にアレンジした衣装だ。星座が一目で分かる様に、作り物の短剣を腰に固定するベルトのバックルがオリオン座の形になっている。
「華音ちゃん出番だぜ?」
「何でオレなんだよ。お前が行けばいいんじゃない?」
「いやぁ、だってメニューに『超絶美少年が耳元で囁きます』って書いちゃってるし? 華音しか居ないじゃん。ここで刃君登場はガッカリされちゃうぜ」
「過大評価し過ぎ。刃、顔だけはいいだろ」
「顔だけはって酷いなぁ」
言葉とは裏腹に、刃は満更でもない様子だ。
「ゼリー用意出来たよ」
やぎ座担当の男子が器に盛られたゼリーを運んで来た。ぷるんと揺れる透き通った水色のそれは上に金箔が散らしてあり、星空を再現していた。
華音は素直に受け取り、盛り付け作業に戻る彼を横目に刃を睨めつけた。華音にとって大迷惑なこのメニューの発案者は刃なのだ。
複数あったメニュー案から、何故かこれが採用されて皆は盛り上がっていたが、華音と桜花はポカンとしていた。
星の囁きゼリーは、星空を模したゼリーを超絶美少年と超絶美少女が運び、決められた台詞を耳元で囁くと言うサービス付きのメニューだ。注文客が女性なら超絶美少年が、男性なら超絶美少女が担当する。そして、その重大な役目を背負わされたのが華音と桜花と言う訳だ。
「いってら~」
呑気な発案者に見送られ、腹を括ってカーテンに手を掛ける。
「おっと」
丁度外側からカーテンが開き、現れた雷が声を上げた。
「雷、ごめん」
「いや、ぶつかんなくて良かった。早速それきたか。まあ、頑張れよ」
ニッと笑い、雷は華音の横を擦り抜けて厨房に声を掛ける。
「パンケーキ2、コーヒー3」
「は、はいっ」
やぎ座担当の男子が肩を上下させ、上擦った声で返事をして雷を見ないようにした。怯えたその様は格好とよく合っていた。他の生徒達も草食動物が肉食動物を前にした時の様に怯えていた。
皆雷が心優しい性格の持ち主だと知っているものの、見た目から受ける威圧感に弱者らしく震え戦くしかなかった。
普段の殴り合い上等な不良のイメージから殺し屋のイメージへとグレードアップされたその姿は、衣装製作者曰くサソリ座らしい。
前髪ごと後ろ髪を1本で纏めたいつものスタイルはそのままに、毛先に毒針を装飾して特徴的な尻尾を表現。そして殺し屋のイメージを増幅させているのは、黒光りのジャケットとズボンだった。いつもの様に付けているピアスとネックレスがよく映える。
オリオン座担当の刃と並ぶと、更に迫力を増した。
ギリシャ神話では狩人オリオンは狩りの腕を自慢したが為に女神ヘラの怒りを買い、彼女がけしかけた蠍の毒によって死亡。星になった後もそれがトラウマで、サソリ座が空に昇ると逃げる様に沈むのだと言う。
クジ引きで決まった組み合わせだが、天は2人の関係性を見抜いていたのかもしれない。それ程様になっていた。
「雷くん、俺を毒殺しないでね?」
「女神様に命令されなきゃな」
「女神様って誰だよ」
「んー……華音とか」
「華音っておま……ヤバいだろ!」
名前を呼ばれた華音は1歩踏み出そうとした体勢のまま止まって、親友を振り返った。
「蠍、そこのうるさいオリオンを始末しておいて」
にっこり満面の笑み。細やかな復讐だ。
刃は青ざめて後退る。
「ほらな!? 絶対そう言うと思ったよ」
「了解、女神様」
雷はニィッと口角を引き上げ、両の拳を構えた。
「いやいや、待てって! てか、そもそもアレは女神じゃなくて烏だろ! 太陽神の使いの!」
「じゃあ、覚悟しろよ。オリオン?」
「な、何その手! 撲殺? 絞殺?」
「ぎゃああぁぁっ!!」
カーテンの向こうへ踏み出した華音は、背中で親友の悲鳴を聞いた。
会場は響めくが、その後に響いた刃の笑い声で治まった。オリオンに下された刑は擽りの刑だった。
華音は2人のお決まりのやり取りで和んだ後、気を引き締めて注文品を待つ客のもとへ向かった。
此処は魂だけが訪れる事が出来る場所。2人は元の姿で立って居た。
華音は数時間ぶりに見る魔法使いの姿に安心した。
「オズワルド……何か数日会ってなかった感覚だよ」
「そうだな。お前はちゃんと私を演じられたか?」
「えっと、まあ……それなりに」
サンダーバードに苦戦した事以外は、と心の中で付け足した。
「そっちこそ、どうだったんだよ」
「まあ……それなりに」
オズワルドが悪戯っぽく笑い、「何で同じ事言うの」と不満を零しつつも華音も笑っていた。
「少々私には騒がしかったが、学生生活も悪くなかった」
「オレは宮廷魔術師は窮屈過ぎてごめんだけど」
「そうか」
「でもさ、ドロシー王女やマルスさんと過ごすの楽しかった。他にもエンベリーさんとか、オズワルドを良く想ってくれている人も居る。ヴィダルシュ城は温かくて心地良い所だな」
「……そうか」
魂は戻るべき身体へ引き寄せられ、青の空間から去る間際の2人の表情は全く同じで満たされていた。
***
姿見に映る漆黒の衣装に身を包んだ少年の姿は確かに自分である筈なのに、その顔は鏡像への不満で歪められていた。
「これで接客するのか……」
完全に異世界の住人だ。
衣装自体は悪くないのだが、完璧である故に抵抗があった。別次元の自分の普段着でさえ、着用するのが嫌だった。着用する事によって、注目を浴びるのが苦痛だった。好奇の視線が容赦なく突き刺さり、背中がむず痒くなる感覚に耐えられないのだ。
「鏡崎くん、やっぱり似合うね」
姿見の前からなかなか動かない華音のもとへ、柄本が近寄って来た。
華音は鏡像から目を離す。
「あぁ……うん。ありがとう」
言いながら隣に立つ少女に笑顔を向けるが、一瞬で剥がれ落ちて驚愕に染まった。
「エンベリー……さん?」
「ん? 誰」
柄本は不思議がりながらも面白がっていた。
「ごめん……何でも」
華音が昨日まで共に過ごしていたのはエンベリーと言う名のメイドで、別次元の柄本であるから似ていて当然だが、一瞬見間違えてしまった。
それも、柄本がメイドを思わせる赤色のエプロンドレスを着用していたからだった。頭にフリルのカチューシャを付けていたら尚そう見えていたが、実際に付けているのはバニーガールが付ける白いうさ耳カチューシャだった。
「柄本さんはうさぎ座だったね」
「うん。そう。鏡崎くんはカラス座だね」
「……ちょっと言いにくいんだけど、袖が少し長い気がするんだ」
華音は手元まで覆い隠す袖に視線を落とした。
「鏡崎くん、昨日も同じ事言ったよね」
「あれ? そうだっけ……」
全く身に覚えがない。昨日はオズワルドとして別次元のヴィダルシュ城に居て、代わりにオズワルドが華音として此方に居たのだ。柄本が示す華音はオズワルドの事であった。
「昨日と言えば、何だか鏡崎くんいつもと違う雰囲気だったね。それはそれで良かったけど、私は今日の鏡崎くんの方が好きだな」
「えっ」
好きと言う単語に無意識に心臓が反応してしまう。どっどっど、と忙しなくなった。
「勿論人としてね? 皆が言う様に鏡崎くんは素敵な人だけど、私は別に恋愛感情を抱いていないんだ」
「あ……そうなんだ」
「あはは。期待させちゃった? ……私じゃないでしょ?」
柄本が後ろを振り向き、その視線を辿った先には機嫌良さそうに尻尾を揺らすヤマネコ少女の愛らしい後ろ姿があった。
桜花は接客以外にコーヒーを淹れている。インスタントではなく、コーヒー豆をミルで粉砕してペーパードリップで淹れる本格派。何種類かあるペーパードリッパーの中でも、出来るだけ早く提供出来る様シンプルなメリタ式を使用している。
コーヒーに関しては桜花が強いこだわりを見せた為、自然な流れで彼女の担当となった。
他にも数人、桜花に教えてもらいながら一生懸命コーヒーを淹れている。
コーヒーのほろ苦い香りが辺りに満ちていた。
華音は桜花から視線を外し、柄本の言葉を聞かなかった事にした。片想いしている事を知られたくなかった。
コーヒー以外にも、パンケーキを皿に盛り付けている生徒や注文を確認している生徒が此処には多数おり、皆、星座をモチーフにした衣装を身に纏っていた。
本日の文化祭の為に衣装製作係が寝る間も惜しんでクラスメイト全員分を作り上げてくれたのだ。どれも製作係のデザインセンスと高度な技術により、各星座らしさを残しながらもスタイリッシュな仕上がりとなっていた。
星座のチョイス、及び担当は全てくじ引きで決められた。その為、黄道十二宮の者も居れば華音や桜花、柄本の様に少々マイナーな者も居る。
そしてこの教室の一角に設けられた空間は配膳係が身嗜みを整えたり、注文品を用意する場所だ。
簡素なカーテンの向こうが飲食スペースとなっていて、来客で賑わっていた。
「星の囁きゼリー、注文来たぜ」
カーテンが開くと同時に声がし、刃がニヤニヤしながら入って来た。そのニヤケ顔を向けられた華音は顔を顰めた。
刃はオリオン座担当で、狩人オリオンの格好を現代風にアレンジした衣装だ。星座が一目で分かる様に、作り物の短剣を腰に固定するベルトのバックルがオリオン座の形になっている。
「華音ちゃん出番だぜ?」
「何でオレなんだよ。お前が行けばいいんじゃない?」
「いやぁ、だってメニューに『超絶美少年が耳元で囁きます』って書いちゃってるし? 華音しか居ないじゃん。ここで刃君登場はガッカリされちゃうぜ」
「過大評価し過ぎ。刃、顔だけはいいだろ」
「顔だけはって酷いなぁ」
言葉とは裏腹に、刃は満更でもない様子だ。
「ゼリー用意出来たよ」
やぎ座担当の男子が器に盛られたゼリーを運んで来た。ぷるんと揺れる透き通った水色のそれは上に金箔が散らしてあり、星空を再現していた。
華音は素直に受け取り、盛り付け作業に戻る彼を横目に刃を睨めつけた。華音にとって大迷惑なこのメニューの発案者は刃なのだ。
複数あったメニュー案から、何故かこれが採用されて皆は盛り上がっていたが、華音と桜花はポカンとしていた。
星の囁きゼリーは、星空を模したゼリーを超絶美少年と超絶美少女が運び、決められた台詞を耳元で囁くと言うサービス付きのメニューだ。注文客が女性なら超絶美少年が、男性なら超絶美少女が担当する。そして、その重大な役目を背負わされたのが華音と桜花と言う訳だ。
「いってら~」
呑気な発案者に見送られ、腹を括ってカーテンに手を掛ける。
「おっと」
丁度外側からカーテンが開き、現れた雷が声を上げた。
「雷、ごめん」
「いや、ぶつかんなくて良かった。早速それきたか。まあ、頑張れよ」
ニッと笑い、雷は華音の横を擦り抜けて厨房に声を掛ける。
「パンケーキ2、コーヒー3」
「は、はいっ」
やぎ座担当の男子が肩を上下させ、上擦った声で返事をして雷を見ないようにした。怯えたその様は格好とよく合っていた。他の生徒達も草食動物が肉食動物を前にした時の様に怯えていた。
皆雷が心優しい性格の持ち主だと知っているものの、見た目から受ける威圧感に弱者らしく震え戦くしかなかった。
普段の殴り合い上等な不良のイメージから殺し屋のイメージへとグレードアップされたその姿は、衣装製作者曰くサソリ座らしい。
前髪ごと後ろ髪を1本で纏めたいつものスタイルはそのままに、毛先に毒針を装飾して特徴的な尻尾を表現。そして殺し屋のイメージを増幅させているのは、黒光りのジャケットとズボンだった。いつもの様に付けているピアスとネックレスがよく映える。
オリオン座担当の刃と並ぶと、更に迫力を増した。
ギリシャ神話では狩人オリオンは狩りの腕を自慢したが為に女神ヘラの怒りを買い、彼女がけしかけた蠍の毒によって死亡。星になった後もそれがトラウマで、サソリ座が空に昇ると逃げる様に沈むのだと言う。
クジ引きで決まった組み合わせだが、天は2人の関係性を見抜いていたのかもしれない。それ程様になっていた。
「雷くん、俺を毒殺しないでね?」
「女神様に命令されなきゃな」
「女神様って誰だよ」
「んー……華音とか」
「華音っておま……ヤバいだろ!」
名前を呼ばれた華音は1歩踏み出そうとした体勢のまま止まって、親友を振り返った。
「蠍、そこのうるさいオリオンを始末しておいて」
にっこり満面の笑み。細やかな復讐だ。
刃は青ざめて後退る。
「ほらな!? 絶対そう言うと思ったよ」
「了解、女神様」
雷はニィッと口角を引き上げ、両の拳を構えた。
「いやいや、待てって! てか、そもそもアレは女神じゃなくて烏だろ! 太陽神の使いの!」
「じゃあ、覚悟しろよ。オリオン?」
「な、何その手! 撲殺? 絞殺?」
「ぎゃああぁぁっ!!」
カーテンの向こうへ踏み出した華音は、背中で親友の悲鳴を聞いた。
会場は響めくが、その後に響いた刃の笑い声で治まった。オリオンに下された刑は擽りの刑だった。
華音は2人のお決まりのやり取りで和んだ後、気を引き締めて注文品を待つ客のもとへ向かった。


