悪意がたっぷりと込められた日葵の微笑みに、夢璃は何かの間違いによって死装束が用意されたのであってほしいと願い、問いかけた。
「死装束のように、見えるのですが……」
「そうよ。お姉様は花園家の悲願のために霊力を捧げるのよ。幸い、お姉様は霊力量だけは豊富だもの」
「た、ただ立っているだけで良いと仰っていたのは……?」
「そうよ。ただ立っていれば良いの。お姉様が死ぬその瞬間に、術は完成するんだもの」
「……!!」
『本当に夢璃を殺す気!?』
(両親だけでなく、日葵にすら、家族だとも思われていなかったんだ……)
先日、日葵が訪れた当初から……いや、恐らくもう随分と前から、一家は夢璃を犠牲にするつもりだったのだと、彼女は悟ってしまう。
「わ、私……は……」
「早くしなさいよ。次期当主の私に歯向かう気?」
『そんなもの、着る必要なんかないよ!!』
(でも、断ったらどんな目に合うか……)
「なんのために、花園家がごく潰しのお姉様を育ててきたと思っているの?」
白装束を手にしたまま呆然としている夢璃の白髪を掴むと、日葵は憎しみを込めるように勢いよく引っ張った。
「っう……」
「術師として何の価値もないどころか、花園家に生まれた者とは思えないこの忌々しい容姿! 一族の恥だわ!!」
『夢璃!? やめろ! 夢璃をいじめるな!!』
すぐに日葵の手から開放されたかと思うと、畳の上に放り出されてしまう。
「役立たずのお姉様を花園家が育てていたのは、すべてこの日のためなのよ! 少しでも役に立ちなさいよ!」
支えるものを失ったように、夢璃はゆらりと起き上がる。
「……」
『逃げよう! 夢璃!』
(逃げたい……)
『血が繋がっているくせに、夢璃を家族と思わない奴らの家にいる意味も、こいつらのために犠牲になる必要も、夢璃にはないんだよ!』
(分かってる。でも……)
司の言う通りにしたい。夢璃はそう思いながらも、俯きながら日葵に答えた。
「死装束のように、見えるのですが……」
「そうよ。お姉様は花園家の悲願のために霊力を捧げるのよ。幸い、お姉様は霊力量だけは豊富だもの」
「た、ただ立っているだけで良いと仰っていたのは……?」
「そうよ。ただ立っていれば良いの。お姉様が死ぬその瞬間に、術は完成するんだもの」
「……!!」
『本当に夢璃を殺す気!?』
(両親だけでなく、日葵にすら、家族だとも思われていなかったんだ……)
先日、日葵が訪れた当初から……いや、恐らくもう随分と前から、一家は夢璃を犠牲にするつもりだったのだと、彼女は悟ってしまう。
「わ、私……は……」
「早くしなさいよ。次期当主の私に歯向かう気?」
『そんなもの、着る必要なんかないよ!!』
(でも、断ったらどんな目に合うか……)
「なんのために、花園家がごく潰しのお姉様を育ててきたと思っているの?」
白装束を手にしたまま呆然としている夢璃の白髪を掴むと、日葵は憎しみを込めるように勢いよく引っ張った。
「っう……」
「術師として何の価値もないどころか、花園家に生まれた者とは思えないこの忌々しい容姿! 一族の恥だわ!!」
『夢璃!? やめろ! 夢璃をいじめるな!!』
すぐに日葵の手から開放されたかと思うと、畳の上に放り出されてしまう。
「役立たずのお姉様を花園家が育てていたのは、すべてこの日のためなのよ! 少しでも役に立ちなさいよ!」
支えるものを失ったように、夢璃はゆらりと起き上がる。
「……」
『逃げよう! 夢璃!』
(逃げたい……)
『血が繋がっているくせに、夢璃を家族と思わない奴らの家にいる意味も、こいつらのために犠牲になる必要も、夢璃にはないんだよ!』
(分かってる。でも……)
司の言う通りにしたい。夢璃はそう思いながらも、俯きながら日葵に答えた。