本物の笑顔〜麗太side〜
「麗太くん!!」
聞き覚えのある大好きな人の声がして、すぐに後ろを振り返った。まさか気分転換に散歩している最中に会うのは想定外だったから。磁石と磁石が引き合うように、俺と愛海は出会うことができたのだろう。
「本当は麗太くんが嘘を吐くときの癖だよね?」
愛海の言葉に俺は驚きを隠せなかった。俺自身も分かっていなかったから。自分の額を触ることが、俺が嘘を吐くときの癖なんだと。
「咲奈が亡くなったあの日から、俺は笑顔を忘れてしまった」
好きな人の前で弱音を吐いて、涙を流すなんて男らしくないよな。咲奈の前ですら泣いたことがなかったのに、俺本当にどうかしてる。けれど、愛海の前では本音を吐いてもいいかなって、そう思えたんだ。
愛海は俺の笑顔をもう一度見たいと言ってくれた。俺と出会えたことが運命だと言ってくれた。その言葉がとてつもなく嬉しかった。
「……でも俺といると水坂が不幸になるだけだ。水坂が辛くなっちゃうかもしれない。……それでも、いいの?」
「うん、それでもいい。全然いい。私が麗太くんと一緒にいたいだけなの。もう離れ離れになるのはいや……!」
愛海のことを今まで以上にかわいいと思った。愛海は初めて出会ったときとは別人のように変わったのだろう。こんなに本音を言う人だとは思っていなかったから。
でもさ、でもさ愛海。気づいていないかもしれないけど、変わったのは愛海だけじゃないんだよ。愛海の隣にいる俺のことを、愛海が変えてくれたんだ。
咲奈と両親が亡くなってからもう大切な人を作るのはやめようと思った。中学でも告白されることは何度かあったが、もちろん断った。また大切な人がいなくなったら、俺が俺じゃなくなってしまいそうで怖いから。
誰も知り合いのいない高校に転校したあの日。俺はまた大切な人を作ってしまったんだ。
全部、きみが変えてくれたんだよ――。
「……愛海のことが好き、大好き。心の底からそう思ってる。こんな俺だけど、また付き合ってください」
「私も、麗太くんのことが大好きだよ」
『私、れいくんのことが大好きだよ』
一瞬だけ、咲奈の幻影を見てしまった。俺が咲奈に告白したときの返事。けれどそれは過去の話だ。今は咲奈じゃなくて、愛海が好き――。
折れそうな体をぎゅっと強く抱きしめながら、俺達は唇と唇を重ね合う。背中に硬いものがあり気になって見てみると、愛海が握りしめているペンギンのキーホルダーだった。
そのペンギンは、俺達を見てにっこりと微笑んでいる気がした。
「麗太くん!!」
聞き覚えのある大好きな人の声がして、すぐに後ろを振り返った。まさか気分転換に散歩している最中に会うのは想定外だったから。磁石と磁石が引き合うように、俺と愛海は出会うことができたのだろう。
「本当は麗太くんが嘘を吐くときの癖だよね?」
愛海の言葉に俺は驚きを隠せなかった。俺自身も分かっていなかったから。自分の額を触ることが、俺が嘘を吐くときの癖なんだと。
「咲奈が亡くなったあの日から、俺は笑顔を忘れてしまった」
好きな人の前で弱音を吐いて、涙を流すなんて男らしくないよな。咲奈の前ですら泣いたことがなかったのに、俺本当にどうかしてる。けれど、愛海の前では本音を吐いてもいいかなって、そう思えたんだ。
愛海は俺の笑顔をもう一度見たいと言ってくれた。俺と出会えたことが運命だと言ってくれた。その言葉がとてつもなく嬉しかった。
「……でも俺といると水坂が不幸になるだけだ。水坂が辛くなっちゃうかもしれない。……それでも、いいの?」
「うん、それでもいい。全然いい。私が麗太くんと一緒にいたいだけなの。もう離れ離れになるのはいや……!」
愛海のことを今まで以上にかわいいと思った。愛海は初めて出会ったときとは別人のように変わったのだろう。こんなに本音を言う人だとは思っていなかったから。
でもさ、でもさ愛海。気づいていないかもしれないけど、変わったのは愛海だけじゃないんだよ。愛海の隣にいる俺のことを、愛海が変えてくれたんだ。
咲奈と両親が亡くなってからもう大切な人を作るのはやめようと思った。中学でも告白されることは何度かあったが、もちろん断った。また大切な人がいなくなったら、俺が俺じゃなくなってしまいそうで怖いから。
誰も知り合いのいない高校に転校したあの日。俺はまた大切な人を作ってしまったんだ。
全部、きみが変えてくれたんだよ――。
「……愛海のことが好き、大好き。心の底からそう思ってる。こんな俺だけど、また付き合ってください」
「私も、麗太くんのことが大好きだよ」
『私、れいくんのことが大好きだよ』
一瞬だけ、咲奈の幻影を見てしまった。俺が咲奈に告白したときの返事。けれどそれは過去の話だ。今は咲奈じゃなくて、愛海が好き――。
折れそうな体をぎゅっと強く抱きしめながら、俺達は唇と唇を重ね合う。背中に硬いものがあり気になって見てみると、愛海が握りしめているペンギンのキーホルダーだった。
そのペンギンは、俺達を見てにっこりと微笑んでいる気がした。