「ピアスの御礼にキスがしたい」
まっすぐにこちらを見ながらハルカが言った。
唐突な話に固まる僕の頬に、1つ。経験したことが無い小さい雷が走った。
人生で初めてのキスだった。
「…あ、ありがとう」
しどろもどろになりながら、よく分からない返事をした。
少しの沈黙が続いたのは、感じた唇の柔らかさに目眩を覚えたからだ。
ハルカの体は骨ばっていて、どこもゴツゴツしていると思っていた。
でも、まだあんなにも肉感的な部分が残されていたことに、心に火が灯る感覚を覚えた。
「好きとか。愛してるとか。言ってくれないの?」
驚いた。そんなお願いをされたことは、過去に一度もなかったのだから。
「すっ。すきだよ。」
吃りながら伝えた言葉に、彼女は満足気に頷いた。
”愛している”とは何となく言い出せなかった。
とても威厳のあるその言葉を、僕などという者が囁いて良いものか。
戸惑いもあったし、正直なところ気恥ずかしさもあった。
ピアスの効果だろう。今日のハルカはいつもよりだいぶ積極的だった。
変わらない毎日にピアスというエッセンスが加わっただけで、こんなにも笑ってくれるなら、正直安い買い物だと思った。
「あ、そういえば」
僕は、今日のもう1つのサプライズを伝えることにした。
「花火買ってきたよ。さっき看護師さんに、”ちょっとだけ”って話をしてきた。病院の中庭で花火して良いってさ。行ってみようか」
この病院の建物から2人で出るのも、花火をするのも、もちろん初めてである。ゴールドのピアスをつけた天使は、目を輝かせていた。
まっすぐにこちらを見ながらハルカが言った。
唐突な話に固まる僕の頬に、1つ。経験したことが無い小さい雷が走った。
人生で初めてのキスだった。
「…あ、ありがとう」
しどろもどろになりながら、よく分からない返事をした。
少しの沈黙が続いたのは、感じた唇の柔らかさに目眩を覚えたからだ。
ハルカの体は骨ばっていて、どこもゴツゴツしていると思っていた。
でも、まだあんなにも肉感的な部分が残されていたことに、心に火が灯る感覚を覚えた。
「好きとか。愛してるとか。言ってくれないの?」
驚いた。そんなお願いをされたことは、過去に一度もなかったのだから。
「すっ。すきだよ。」
吃りながら伝えた言葉に、彼女は満足気に頷いた。
”愛している”とは何となく言い出せなかった。
とても威厳のあるその言葉を、僕などという者が囁いて良いものか。
戸惑いもあったし、正直なところ気恥ずかしさもあった。
ピアスの効果だろう。今日のハルカはいつもよりだいぶ積極的だった。
変わらない毎日にピアスというエッセンスが加わっただけで、こんなにも笑ってくれるなら、正直安い買い物だと思った。
「あ、そういえば」
僕は、今日のもう1つのサプライズを伝えることにした。
「花火買ってきたよ。さっき看護師さんに、”ちょっとだけ”って話をしてきた。病院の中庭で花火して良いってさ。行ってみようか」
この病院の建物から2人で出るのも、花火をするのも、もちろん初めてである。ゴールドのピアスをつけた天使は、目を輝かせていた。