「前にもあったことなのですか?」

「中身はなんでしたか?」

主彦と涙子が続けざまに問いかける。

琴理は半年前を思い出して、眉間にしわを寄せながら答えた。

「……はっきり言って意味がわからないものでした。確認した限り、ハサミ、糊、せっけん、タオルなど……文房具や日用品だったのです」

想定していた答えの斜め上の物が出てきて、主彦と涙子は一瞬ぽかんとしてしまった。

日用品が届け物として届いた、として真っ先に考える可能性は――

「それは、琴理様がお買いになったものではなく……?」

「消耗品にこだわりはないので、自分だけが使うものをネットなどで買ったことはないんです。自分の買い求めたものではありませんが、わたしあてに届いた荷物でした。部屋で箱を開けて意味がわからなかったので、誰かの荷物が間違ってわたしあてに届いたのかと思って、花園で働いている人に訊きに部屋を出たんです。見てもらうために連れて戻ったら、消えていて……」

今更ながら、ぞくりとした。

半年前のあのときは、ただクエスチョンマークが浮かぶ事象に過ぎなかったが、今回は中身だけでやばいものだとわからざるを得ない。

「それで映像に残した方がいいと判断されたのですね」

「まあ……はい」

琴理の答えは歯切れが悪かったが、主彦も涙子も気になることがまだまだあるようだ。

「そのときは、先ほどの写真のようなものはなかったのですか? 脅迫的とか、ストーカーを思わせるとか……」

「それが、全部は見ていませんが、新品の日用品が詰まっているだけでそういったものはありませんでした。なので今回の荷物と同じに見るのは考える必要があるかもしれませんが……」

「不審な物には変わりありませんね。花園様の件は、どういう風に処理されたのですか?」

「父に報告して、調べられることは調べてもらいました。ですが、送り主や消えた荷物の行方などはわからず、詳細不詳として終わりました。差出人不明で、中身に覚えのない届け物はその一回きりです」

「花園様をもってしても解決はしなかったのですね……」

半年前の荷物の差出人は、実在しない住所だった。

名前も調べたら、現代日本には存在しない苗字だった。

「……両親も不審がっていましたが、家にくる嫌がらせのひとつということになりました。家に突撃されることもありましたので……」

仕事柄、頼られるだけでなく恨まれることもある。

その類はたまにあるため、その件も取り立てて問題視されずに終わった。

だが、今回は――

「明らかに、琴理様に害を企てることが窺えます。琴理様、ご判断をお願い致します」