「おい、そもそも、ヤレっていわれていたか?」

金棒を持っている三人の赤鬼はのんびりと何かを話し合っている。
どうも、目的があってここにいたみたいだけど。

「どーするの?あれ」
「…………このまま無視していこうか」

赤鬼と絡むと色々と面倒だ。
そう考えて歩き出した時。
殺意を感じて懐から十手を取り出して誰もいな空間に突き出す。
鉄同士がぶつかる大きな音が響く。

「ほう、これに気付くか」

――強い。
誰もいないと思っていた空間に現れた男。
いや、よくみると額に二本の角がある。
戦国武将の鎧のようなものを纏っているが、肌が赤い。

「貴方も、赤鬼」
「そうだ。お前、雲川丈二だな」
「……だったら?」
「一緒に来てもらおう。我らの頭領が会いたいといっておられる」
「……先を急いでいるんですけど?」
「そうはいかん」

更に前へ踏み込んでくる赤鬼。
襲い掛かってきた三人の赤鬼よりも人に近い姿をしているけれど、この人はあの三人よりも強い。
あの緋と蒼の怪異程ではないけれど、強いことがわかり十手を強く握りしめる。

「俺とやり合うつもりか?」

目を細める赤鬼の武者。
仕切りなおす為、互いに距離をとる。
刀を構えなおす赤鬼の鎧武者。
十手を握りなおして構える。

「え、え?」

後ろにいる瀬戸さんが戸惑う声を漏らす。
ごめん、瀬戸さん。
この人相手に余裕をもっていることはできない。

「はい、そこまでぇ!」

踏み出そうとした所で僕達の間に立つ人がいた。
いや、青鬼だ。