「後は頼むぞ」
「うん」

僕が頷いたことを確認すると新城は緋と向き合う。

「約束だ。雲川に手を出すなよ」
「えぇ、貴方が戻ってきてくれるのですから、そこの人間は見逃しましょう」
「そうか」
「さぁ、帰りますよ。私達と一緒に」

緋と蒼の怪異に挟まれたと思うと三人の姿が消える。
まるでその場に元からいなかったように。



「覚悟はしていたけれど、これは辛い……」

何もできなかった無力感もそうだけど、いきなりの事態に何もできなかったことがとても悔しい。

「待っていて、新城。僕もすぐ行くから」