蒼や緋に捕まるところから新城の計画ははじまっていた。
全てはけじめをつける為。
妖狐の里に捕まることは新城にとって計画の始まり。
そこから他の種族を巻き込み、封印されている四葉を見つけ解放する。
計画と言っても所々、計算外の出来事はあった。
紅丸との戦い。
赤鬼の参戦。
妖狐の里へ侵入する際、守護者と戦った事。
様々な問題を抱えながらもなんとか僕達はここまで来られた。

「優秀な下僕がいたもので」

新城の目は四葉の後ろ、おっかなびっくりの様子でついてくる尾が一つの妖狐達、ズタズタの着物姿の緋、千佐那や赤鬼、青鬼のトップ達。

「誘ぁ、よくも母様にあんなことを許さないわ」

口の端から犬歯を覗かせながら威嚇する緋。
そして瀬戸さんの姿があった。

「凍真!雲川!無事でよかったぁ!」
「遅かったな」
「開口一番それって!凍真らしぃ~。元気そうでよかったぁ」
「泣くか笑うかどっちかにしろよ。忙しいな」

僕達の所へやってきた瀬戸さんは両手を伸ばして僕達に抱き着いた。
身長差で彼女の胸に新城の顔が当たっている。
本人が文句を言っているが「もごもご」と聞き取れない。

「瀬戸さん、新城が話の続きをしたいみたいだから解放してあげたら?」
「あ、ごめん」
「げほげほ」

せき込む新城。
そんな彼に向けられる六つの視線。

「あらあら」
「トウマ、様ぁ?」
「……ぐす」

驚いた様子の四葉。
冷たい視線を向ける緋。
涙ぐむ蒼。

「話の途中だっていうのにグダグダじゃねぇか」
「アタシのせいだっていうの!?」

咎める視線を向ける新城へ叫ぶ瀬戸さん。