「そんな、バカな!?ありえないありえないありえない!!」

誘に十手を突き付けて無力化したタイミングで白狐に変化が起こる。
体が光となって消えていき、中心に新城とぐったりした蒼がいた。

「なんで、どうやって!?まさか、許したというのか!?目を奪った相手を、醜い執着をぶつけていた相手を!?」
「醜い執着は貴方も一緒だ」

僕の言葉に誘はギロリと睨む。
ぶわりと九つの尾が逆立つも手足を折られている彼女は動けなかった。
ただ睨むだけしかない相手なんか脅威に感じない。

「この、お前、どうして」
「ほう、そっちも終わったのか」

声の方へ視線を向けると新城がこちらへやってくる。

「新城も終わったみたいだね」
「四肢へし折るとか、えげつないな。お前」
「まぁ、気に入らなかったから」
「そこは同意だな」

僕の言葉に新城は肯定する。

「なんで、なんで、そんな奴らを選ぶ!?ボクは、本気で」
「本気で自身の体内に取り込んで永遠の愛を歌うなど、自己満足でしかありませんよ」

第三者の声。
僕達が視線を向けると茂みの中からゆっくりと妙齢の女性が現れる。
いや、朱色の着物の後ろから伸びる八つの尾。
妖狐だ。

「嘘だ。どうやって、あの場所が、厳重な封印を施してあったのに」

誘が信じられないものをみるような目を向ける。

「四葉!!」

朱色の着物を纏い、月夜で茶色に輝く長い髪を揺らしながら紫色の瞳は真っすぐに誘や僕達をみていた。

「すべてはトウマのおかげです」

四葉の言葉に誘は新城をみる。