「あれは流石の僕も受けたらまずいね」
「そもそも俺達からしたら一発すらアウトだ」
「どうしょうか?」
「アイツを無力化しろ。致命傷になるような攻撃は俺が防いでやる」
「わかった。致命傷以外は僕の方でなんとかするから」

新城がため息を零す。
変な事を言っただろうか?
尋ねようとした所で蒼が突撃してくる。
振るわれる拳をギリギリのところで躱して彼女の腕へ十手を叩きつけた。

「グッ」

まるで岩を殴ったみたいに手がビリビリと痺れる。
十手で殴ったのに平然としていることから相手は痛みを感じていないかもしれない。

「操られて痛覚がわかっていない?」

近付こうとした所でブンと伸びてきた爪が僕の服を切り裂いた。
爪を伸ばして刃として攻撃できるのか。

「その程度で苦戦していて、彼の守りてとして役立つのかな?」

挑発する誘の言葉を無視して再び蒼に接近。
十手で彼女の腹を突く。
後ろにのけ反っていく瞬間、彼女の腕を掴んで一本背負い。
地面に思いっきり叩きつけた所で手が僕の首を掴む。
首絞めなんて生易しいものじゃない。
骨をへし折る力。
まずいと思った瞬間、小さな光が周囲に灯って蒼の動きを封じ込める。
新城の助けだと判断して彼女の首を上から抑え込む。
意識を奪う。

「あぁ、全く、人間相手になにやってんだか?洗脳して理性がないからか?全く人形はもう少し動けな」

もう少しで彼女を無力化できるという所で蒼に異変が起きる。
黒い靄のようなものが周囲に現れたと思うと蒼の口内へ吸い込まれていく。

「これって」
「離れろ!!」

脈打つような音と共に蒼の体が変化する。
膨れ上がる彼女の体、服が破け、白い体毛が全身を包み込んでいく。
八尾の獣。
蒼い瞳は敵意で滾らせながら鋭い牙を口の端から覗かせる。

「なんてことを」