「だからって、なんでこの家に集まるんじゃぁ!」
「……てっきり青山さんの屋敷かと思ったら、まさかの蛇骨婆さんの」

蛇骨婆のお店もとい、自宅。
そこに僕達は来ていた。

「いやぁ、屋敷に連れていくべきかと思ったんだが、ちょーっとそうすると問題が勃発するからさ。中立のここを選んだ訳」
「中立なのかな?」
「さぁ?」

僕と瀬戸さんは首を傾げる。

「あの、蛇骨婆さん、あのノンちゃんは?」
「ヘンテコ女なら今、人間界だよ。入れ違いだね」
「え?人間界?」
「ちょーっと問題があって彼女に頼んだんだよ。まぁ、今いると色々とややこしいからね」

そうか、彼女が戦力になるかもしれないと期待していたんだけど。
ノンとは桜木ノン。
下は有名なアイドルだったんだけど、色々な出来事によって彼女は怪異となった。
都市伝説怪異と呼ばれる危険な存在は人間界にいると色々な厄介ごとを招く危険もあるという事から妖界で暮らしている。
青山の許可が降りているという事は多少、安定したということなのかもしれない。
会いたかったといえば、会いたかったけど。

「あの、千佐那、腕が痛い」
「お前様、奴の事を考えていたな?千佐那がいるというのに他の女、ましてや奴の事で現を抜かすなどど」
「話が進まないから大人しくしていなさい。バカ娘」

ゴチンと千佐那の頭に拳を振り下ろす青山。
殴られた彼女は僅かに表情を顰めながらおずおずと離れる。

「まったく、体だけは頑丈になりやがって……はぁ」

ひらひらと手を振りながら青山は僕を見る。

「まぁ、色々と脱線はしたが、そろそろ本題に入ろうか」
「妖狐の件ですよね?」

青山が頷く。

「そう、はっきりいって今回の相手はかなり分が悪い。理由としては相手が三大妖怪の一柱を担っているからというところもある」
「三大妖怪?」
「この妖界が出来た際に強大な力を持っていたとされる最初の妖怪の三体。その血を引く者達の事さ。妖狐の他に天狗、そして俺達、鬼だ」
「え、じゃあ、千佐那達がいるなら心強いんじゃないの?その三大妖怪の一つなんでしょ?」
「妖狐は相性が悪いのさ」

瀬戸さんの言葉に青山は顔を顰める。