「青山さん?」
「よう!相変わらず面倒なところで会うな。こらこら、暴れるんじゃないアホ娘」

現れたのは青鬼の頭領、青山。
彼の後ろで一人娘の千佐那がいる。
身の丈のある大太刀を握りしめてうずうずとこちらをみていた。

「青鬼、我らの邪魔をするつもりか?」
「それはこちらのセリフなんだけどねぇ。この歓楽街で暴れることはご法度の筈だぜぇ?紅丸(べにまる)さんよ」
「……」
「これ以上、暴れるならこの世界の治安を任されている俺らを相手することになる。いくら赤鬼の中でトップの実力を持つアンタでも俺達総出はきついんじゃなぁい?」

ニコリと笑みを浮かべる。
笑顔は相手を威嚇する意味合いもあるという言葉が頭を過ぎった。
青山が本気を出したら僕達なんて一瞬で命を奪われる。
そんな予感が過ぎた。

「フン」

紅丸と呼ばれた赤鬼は持っている刀を鞘へ納める。

「命拾いしたな」

鋭い目で彼は僕達に背を向けた。

「いくぞ、お前達」
「あ」
「へい!」
「へ、へい!」

慌てて、彼の後を追いかけていく赤鬼。

「どっちが命拾いしたんだろうね」

去っていく紅丸の姿を見て青山が呟く。
今の言葉はどういう意味だろうか?

「さて、場所を変えようか」

青山に言われて僕は頷く。